地域に根ざす集合住宅『市場』から『市庭』へ

住宅街の中心に位置する集合住宅『八景市場』は、3世代に渡り受け継がれていく場としての住まいを考えた設計を行いました。戦後の引揚者住宅として開発されたこの地区に生活必需品等を取り扱う「日用品市場」としてスタートした敷地は、1980年代に入ると駅前に開発された大型商業施設が台頭したため、近隣の工場で働く人や大学へ通う学生のための単身者向けのアパートとして生まれ変わりました。常に時代の要請に合わせて変化してきたこの敷地は、2000年代に入ると新たな「場」の在り方が求めら れました。オーナーとの対話を重ね、人と物との交流地点として始まった「市場」は、物があふれる現代において、情報や体験などの暮 らしに寄り添う市民(地域)のための庭となるべく「市庭」として開かれた場を目指しました。

地域に開かれた新たなラウンジ

『八景市場』には、地域に開かれたキッチン付きラウンジが併設されています。 入居者だけでなく、利用者を広く迎える地域との新たな接点となります。 時には、入居者が食卓を囲み、時には、ワークショップなどのイベントや市場など活用方法は色々。街の人が思い思いに利用することができます。

人が集まる『市場』に住まう

全7戸あるアパートメントのうちオープンスペースに面する4戸は、SOHOタイプのメゾネット住戸。 1階は地域で働く方のアトリエやスタジオ、工房などとして利用でき、住まい手の暮らしの幅を広げます。